@ 乾繭(かんけん)
|
生きている蚕の繭(まゆ)は、2週間ぐらいで蛾が羽化し、穴をあけてしまうため糸を繰り取る
ことができなくなってしまいます。このため繭のうちに高温で乾燥し、中の蛹(さなぎ)を殺して、
繭を長期間保存できるようにします。乾燥は80℃の温度で16時間行い、乾燥した繭は重量で生きている繭
の45%(約1g)程度になります。
|
A 煮繭(しゃけん)
|
繭は蚕が吐き出す1本の糸(繭糸)でできています。1本の繭糸は中心の2本の
繊維状タンパク質フィブロインの周りを、セリシンというタンパク質が取り込み、
これが接着剤となって、繭を固めています。繭から糸を繰り取るためには、この
セリシンを柔らかくすることが必要です。この煮繭工程では繭を熱湯で煮てセリシン
を柔らかくします。
|
B 繰糸(そうし)
|
煮繭した繭から生糸を繰り取る工程を繰糸といいます。
繭から取れる1本の繭糸は、非常に細い(直径0.5〜0.6μm)ので
通常は9〜10粒程度の繭から一緒に糸を取り出し、これを合わせて
1本の生糸にして、小枠(こわく)に巻き取っていきます。
標準の生糸の太さは27d(デニール)で、9,000mで27gの重さです。
|
C 小枠浸透(こわくしんとう)
|
繰糸機で小枠(こわく)に巻き取った生糸を、後の揚返工程でさらに
大枠(おおわく)に巻き取りやすくするために行います。小枠浸透槽のなかに
生糸を入れて、生糸に水を浸透させ小枠から糸がほどけやすくします。
|
D 揚返(あげかえし)
|
生糸は、小枠のままでは合糸(生糸を何本か合わせて目的の太さにする)、
撚糸(ねんし:合糸した糸に撚りをかける)、精錬(せいれん:生糸をアルカリ
性の溶液で煮てセリシンを溶かし落とす)、染色(糸を染める)といった後の
工程に利用できないため、大枠(おおわく)に巻き返し、枠からはずして
綛(かせ:糸の束)にできるようにする作業です。
|